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ちちどうふ(乳豆腐)

県北の田舎に住んでいた子どもの頃、
200メートルぐらい離れた隣は親戚の家で、
米作りと酪農を営んでいた。

子牛が産まれると、喜び勇んで見に行った。
母牛のオッパイに吸い付く子牛が可愛くて、ずっと見ていられた。
その時、おじさんが“ちちどうふ”を食べさせてくれるのも楽しみだった。

普通の豆腐のような四角い形では無く、
硬めの豆腐を粗く潰したような形状で、ほんのりミルクの甘い香りがした。

出産後の初乳で作るらしく、たまにしか食べられないのもあって、
当時の私には夢のような食べ物だった。

小2で引っ越したので二度と食べる事もなく、
忘れられない思い出の食べ物になった。

市内北部の中学校に勤務した時、
その思い出の味を生徒たちに話したことがあった。
すると何週間か後に、1人の男子が“ちちどうふ”を持って来てくれた。
その子の家は酪農をしているらしく、お父さんに作ってもらったと。
その子の優しさに感動した。

まさか、あの“ちちどうふ”をまた食べることが出来るとは!
家に帰り、ワクワクしながら食べてみた。
えっ!?こんな味だったっけ?
形状は同じだが、ほぼ味が無い。もっと甘い香りがしていたはず。

母にも食べてもらったが、こんな感じだったと言う。
幼い頃の味の記憶に自信が無くなり、夢から覚めたように寂しくなった。
思い出の味は記憶のまま置いておけば良かったのかも。

今、これを書くにあたって、“ちちどうふ”なる物を調べてみたら……
“牛乳豆腐”が出てきて、本来は母牛の初乳を温めて酢を加えて作るが、
市販の牛乳でも作れると。
家でも簡単に作れる“カッテージチーズ”でもあるらしい。

ちちどうふ(乳豆腐)_f0090137_20543064.jpeg

当時の田舎ではチーズなど食べた事もなかったし、
なるほどカッテージチーズと言えばそうだなと思いつつも、
実は今でもあまりチーズは食べないので、よく分からん。

思い出の“ちちどうふ”の味は幻だったのか…







by love_dolly | 2023-05-27 10:35 | 戯言 | Comments(0)