2021年11月の読書記録
2021年 12月 01日読んだページ数:4348
ナイス数:189
スワンの感想
無差別テロに遭遇した被害者のやり場のない複雑な心理に息が詰まる。隠された真実と嘘の狭間で苦しむ関係者たち。究極の状態で露わになる人間性。片岡いずみの思惑……高校生とは思えない思慮深い戦略。
読了日:11月30日 著者:呉 勝浩
ブルースRedの感想
あの影山博人の娘が主人公か……ヒロトの孤独と哀愁と諦念を受け継いだような莉菜の生き様が渋くてカッコいいけど、自分と同性だからか切なすぎて堪らない。ヒロトの娘としての鎧を脱いだ瀬戸内の島での生活に救われる。島の持ち主の李という女性のワルぶりも凄みがあって良い。ヒロトに仕えた弥伊知が莉菜に仕える律儀な生き方もチャーミング。ヒロトの息子にはもう一つ大胆なヤンチャを期待するも物足らなかったのが唯一残念だが、前作『ブルース』ありきで面白かった。
読了日:11月25日 著者:桜木 紫乃
王とサーカスの感想
何の前知識もないまま手に取った本がたまたまネパールでのストーリーだった偶然にビックリ!しかも、ちょうどネパールの王宮事件の前にネパール旅行に行ってて、サガルのような少年ガイドに安宿を紹介されたり、美味しいネパール料理の店を教えてもらったり……懐かしくて貪り読んだ。ミステリーの要素よりも,太刀洗のジャーナリストとしてのジレンマやサガルのマスメディアへの思いの方が心に響いて切ない。
読了日:11月23日 著者:米澤 穂信
白日の感想
単なる会社組織の派閥争いに留まらず、新しい教育理念の実現と主人公の周辺の子供たちの現実……真摯に向き合うべき理想の学園構想、子供たちの純粋な夢、大人たちのやり切れない事情が絡み合って面白かった。
読了日:11月20日 著者:月村 了衛
真夜中の子供の感想
無戸籍の蓮司の壮絶な成長過程……熱帯魚の目で世の中を見つめ諦念と共に生きている蓮司……でも中洲の人の暖かさや緋真との出会いに救われる。愚かな母親や父親に振り回されても、強く誠実な人生を歩んでいって欲しい。現実でも蓮司のような子供たちに、それぞれ何か救いがあって欲しい。蓮司が健気で愛しくて、辛かった。
読了日:11月19日 著者:辻 仁成
東京輪舞の感想
当時は表層しか知らなかった懐かしい事件の裏側を公安視点から展開するストーリー……読み応え十分だった。砂田という男のぶれない芯に救われる。ロシア人スパイとの掴み所のないドラマティックな関係は切ない。実際の事件に絡んだスパイたちの動きに興味津々……ただ日本の諜報活動には期待していない。
読了日:11月17日 著者:月村 了衛
コルトM1847羽衣の感想
うわわわ…コルトを連射する江戸の女渡世人お炎!!!カッコ良すぎて痺れまくるわ〜〜おみんちゃんも可愛いし。エンタメ大活劇風でワクワクしながら一気読み出来た。他作品もどんどん読みたくなる作家さん。
読了日:11月11日 著者:月村 了衛
Iの悲劇の感想
タイトルから勝手に想起していたミステリーとは程遠いストーリーだった。万願寺と観山の凸凹コンビの掛け合いに釣られて読んでいくうちに、違和感が……時々、普段のキャラとは違う活躍をする課長。次々と小さな事件が起きて出て行く人たち。ラストで納得するものの、万願寺の気持ちの行き場が……
読了日:11月09日 著者:米澤 穂信
捜査一課OB-ぼくの愛したオクトパス (単行本)の感想
『ぼくの愛したオクトパス』って……愛してたのはお母さんだし……賢人と鉄太郎の刑事コンビのキャラもイマイチ中途半端かな。賢人が印象に残らないし。まぁでも全体的にほのぼの気分で読めた。
読了日:11月09日 著者:富樫 倫太郎
白医の感想
ホスピスと安楽死……苦しむ患者を前にして真摯に悩む医療者と家族……それぞれの事情があって考え方も様々。身の回りの現実を振り返れば父母や自分がが関わって来た医療者と小説とのギャップが虚しい。重いテーマにもっと切り込んで欲しかった。
読了日:11月06日 著者:下村 敦史
非弁護人 (文芸書)の感想
裏社会の非弁護人……表の弁護人とのコンビで闘う法廷闘争に息を呑む。在留外国人、貧困層、ヤクザ崩れなど社会の暗部に食い込む男との戦い。大物ヤクザに借りを作りながら、少年の依頼を受ける宗光の信念。
読了日:11月04日 著者:月村了衛